去る2月15日に、OCNに対して発信者情報開示請求を起こした裁判の、第1回目が行われました。平日の朝にも関わらず、多数の方が傍聴してくださってましたから、関心の高さが伺えます。

次回期日は、4月11日13時10分から東京地裁522号法廷にて行われます(年度が替わるため、法廷は変更の可能性があります。傍聴される方は、裁判所にご確認ください)。また、同じく4月11日13時10分から、同じ法廷で、元祖・闇サイト管理人「奥平明男」を訴えた裁判の第3回目が行われます。当方に対する2大プライバシー侵害裁判が同時に行われるということで、大変お得な日程となっております。興味のある方は、傍聴のほどをよろしくお願いいたします。なお、日程が同じになったのは、たまたま同じ裁判長になったということで偶然です。

さて、OCNの裁判の方は、裁判が行われていない間も多数の書面のやり取りがなされ、だいぶ論点が煮詰まってきた感じです。OCN側からは、「発信者がプロバイダに提出した意見書」が証拠として出されました(もちろん、個人名が特定できる部分は黒塗りです。図1参照)。発信者の意見を信じて「発信者情報を開示しなかったこと」に、重過失があったかどうかが争点です。

図1、発信者からのメールが証拠として提出された

発信者の主張の特徴としては、妙に壊れた日本語で滅茶苦茶な「公人論」を唱えているのですが、読めば読むほど、OCNが「正当性があるかもしれない」と判断した理由が分からなくなります。

たとえば、私の個人情報を掲載したことについて、発信者は2007年2月〜3月にかけてのメールで、

そもそも当該行為は吉本敏洋の執筆した書籍に小さな工務店が非難を書かれたが、その取材が反対取材を行われておらず悪質な出版であったので連絡先を教えると言う公益性の高い目的でコピーアンドペーストされたもの。

などと主張し、また、

公益性と真実性がある事に関して、公開された2005年から流布している公人の連絡先をコピペしたのが悪いのですか?

1) 荒木工務店への中傷で誰か不明の人物が作ったページをコピペして商業出版で実名入りで「反対取材無しでいきなり」乗せた事が悪いのか、

2) それを批判して連絡先を乗せたのが悪いのか、誰が見ても1が悪いじゃないですか。

そこで公共性と真実性を考え、流布している公人の住所をコピペし、ここに反対取材をお互いにしたら?という意見の表明が何が悪いのかと言う話です。

と主張しているのですが、それがどうして無関係な「親族一覧」を、それぞれの住所とともに載せることにつながるのか、意味不明です。誰に「連絡先を教える」つもりなのか主語が無いため分かりませんが、2ちゃんねるに連絡先を掲載する必要は全くありません。

そして、「公人」とは、OCNおよび発信者の主張をまとめると、

  • 裁判を傍聴するなど、公の場に出てきていること

だそうです。傍聴が「公の場」とも思えませんし、どう考えても、常識的には「裁判を傍聴する=住所を公開されても仕方が無い」とならないことは明らかです。なお、ここでの裁判は、発信者からのメールによると2007年1月29日の「2ちゃんねる裁判で山本一郎氏が西村博之氏を『IP開示と損害賠償請求』で訴えた件」らしいです。私は、この裁判を傍聴したことを公表していませんから、また聞きでそれこそ「取材無しに」載せたのか、もしくはその場にいたのでしょうか。というか、個人情報の書き込みが1月24日、裁判の日が1月29日ですから、根拠になりえないことは明らかです。

さらに発信者は、この裁判に際して2008年2月1日に、「また、■■■■■(図1同様黒塗り)■■■■■■がBeyondとその関係者と思われる人物から多数の嫌がらせを受けたので閉鎖」などとも主張しているのですが、ウェブサイトなどどこかを「閉鎖」させたことはありませんから、何か被害妄想が強い方のようです。

なんにせよ、どのような理由があろうとも、「親族一覧」のような形で個人情報を列挙するようなことが許されるはずありません。そのような悪意のある投稿について、「プライバシーが違法に侵害されたか否かを判断することは容易では無い」などとするOCNは、社会的な常識が著しく欠如していると言わざるを得ません。裁判所の判断が、注目されます。

参考リンク:

【追記、2008年3月30日】

法廷番号を間違えました。すいません。でも、変更があるかもしれません。


Tags