2月1日、元祖・闇サイト管理人によるプライバシー侵害訴訟の第3回口頭弁論が行われました。これは、2005年に殺人代行詐欺の舞台となった「駆込寺 blacklist.jp」の管理人「奥平明男」が、サイト上で、当方のプライバシーを侵害し名誉を毀損する文章を掲載していたことに対する損害賠償を求めた裁判です。

双方とも、代理人の弁護士を立てて訴訟を行っているのですが、こちら側の訴状が16ページ(+証拠が数十ページ)なのに対し、被告側の書面は準備書面を含めても、わずか4ページ、しかも基本的な認否すら行われていないという状況です。裁判官からも、「被告側は、やるべきことをやってください(どの点を認め、どの点で争うかハッキリさせること)」と催促される始末。気の長い裁判になりそうです。

ところで、この裁判は、当方のサイトを不愉快に思った奥平が、私が2004年4月に実名を公表したことによって情報を得て、そこから住所や電話番号、親戚関係を調べ上げて嫌がらせを行った結果、起こったものです(どうやって調べたのか分かりませんが、奥平は、探偵業を営んでいます。メールは、2004年4月以前から来ていました)。実名を公表することに対しては、このようなリスクが当然あるかと思いますが、小倉秀夫弁護士によると、「ネットで実名を表示したことを契機として、見ず知らずの人から突然襲撃されたみたいなことは未だ起こっていない」ということのようです。

ここで、「襲撃」という単語が、どのような事態であるか説明されていないので分かりませんが、記事のタイトルが「私たちは、いろいろな人に実名等の個人情報を知られているが、殺されてはいない」ですから、「殺される」もしくは「物理的なダメージを与える」ことのみを指しているのかもしれません。で、「襲撃が起こっていない」と断言する根拠も不明ですが、実際に何らかの被害はあるのですから、以下のようなコメントを、何日か前に小倉弁護士のblogに行ってみました。しかし、検閲により削除されてしまったようです。都合の悪いコメントは無視し、根拠の無い情報を発信し続けることが小倉弁護士のポリシーのようです。

ネットで実名を表示したことを契機として、見ず知らずの人から、
・連日、夜中の3時に「ぶっ殺してやる」と電話が掛かってきたり
・隣の民家に、私の在宅を問い合わせる電話が複数回掛かって来たり
・盗撮された顔写真をネットにアップ
されたりしましたが(アップした人は別件で逮捕。民事で損害賠償訴訟中)、「襲撃」では無いから大したこと無いってことでしょうか?

まあ、そう言ったポリシーはともかくとしても、「突然襲撃されるようなことは、未だ起きていない」ことを根拠として、「ネット上での発言者の匿名性を維持したところでその種の犯罪の発生確率を減少させる意味はほとんどありません」などと主張してしまえる感覚は、弁護士としてどうなのでしょうか?とても、人権を擁護する立場の者とは思えません。

ネットで実名を表示する者が増えれば、現在仮に全く発生していなくても、将来は、当然、ある確率で「殺人」や「レイプ」などが起きるでしょう。なぜなら、ストーカー事件は、ネット外でも起きているからです。また、本人が襲撃されたわけではありませんが、「住所と年齢」だけで本人を突き止めようとするアクティブなユーザーも、中にはいます(下記記事参照)。そのようなリスクを無視して、まるで「殺人なんてネット外でも起こるんだから、(確率的には)殺されても仕方ないよね」とでも言うような態度は、「基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする(弁護士法第1条)」者として相応しいものでしょうか?もし、実際に事件が起きた場合、「たまたま、運が悪かっただけ(実名表示との因果関係は無い)」とでも抗弁するつもりでしょうか?また、このような極端な主張を展開する者を、弁護士という肩書きがあるだけで(もしくは面白いという理由だけで)取り上げるネットニュースサイトも、自戒をすべきです。悪影響しかもたらしません。

実名表示、もしくはもっと根源的に「ネットをやること」には、なんらかのリスクがあるのですから、それを過小視してはいけません。家族なり知人なりが出かける際、「今まで、事故ってないんだから大丈夫」と声を掛けるのではなく、「車に気をつけて」と声を掛けるのが、正しい大人のあり方だと私は思います。

ネットゲームで怒り対戦相手探しへ ナイフなどで脅迫 容疑の男2人逮捕=山梨

2005.12.13 読売新聞社

 上野原署は12日、昭和町西条、土木作業員高田雄一(23)と甲府市上今井、介護福祉士望月光(22)の両容疑者を暴力行為等処罰法違反(脅迫)の疑いで逮捕した。

 調べによると、2人は11日午後0時40分ごろ、上野原市上野原の駐車場で、男子専門学校生(23)に刃渡り約25センチのサバイバルナイフと金属バットを突きつけた疑い。

 高田容疑者はインターネットのゲームで、「上野原市在住の20代男性」を名乗った対戦相手に腹を立て、遊び仲間の望月容疑者を誘って上野原まで捜しに来たという。たまたま目に入った専門学校生を「おまえが対戦相手だろう」などと脅したという。男子学生からの110番通報で駆けつけた署員が、JR上野原駅前にいた2人を発見した。

【追記】

  • なお、私としては匿名絶対派ではなく、「ネットは匿名で始めるべきだが、10年くらい経ったら実名を公表すべき」だと思っています。なぜなら、匿名のままでは活動の幅(もしくは、信用)が広がらないからです。活動の幅を広げたくない人(リスクを取りたくない人)は、匿名のままでも良いでしょう。
  • 実名非表示の前提には、トレーサビリティーが確保(プロバイダの段階で、本人確認。およびログの保存)されている必要がありますが、トレーサビリティーには限界がある(具体的に言えば、fc2.comのブログに対しては何も出来ない)ことから考えて、全体的には「ネットの免許制」を導入したほうが、より良い環境に繋がるかもしれません。

参考リンク:


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