前回、「Googleは中立性の議論から逃げており、その辺りに『google脅威論』の源泉があるようだ」と言う話をしました。それで、「脅威論」を論じる前に、現在実際に起きている現実のことについて説明したいと思います。「Google賛美派」の方々は、当然、この現実のことを知っているのですが、わざと具体的な例を出すことを避けています。まあ、誤爆の被害や家族を失った子供のことを論じていては、戦争を推進出来ないのと一緒でしょう。ですが、私は何かの利権のために動いているわけではないので、新技術(または新権力)に対して煽る必要も、むやみに恐れる必要もありません。とりあえず、今何が起きているのかの共通認識を持つことこそ、科学的な議論に必要なことだと思います。

まずは、以下の画像をご覧ください。これは、7月3日10時現在、googleで「グロービートジャパン」(*1)を検索した結果を表示したものです。下の方に見慣れない表示

Google 宛に送られた法律に関するリクエストに応じて、検索結果のうち 4 件を削除しました。必要に応じて、ChillingEffects.org で削除が発生したことに至った苦情を確認できます。

が、あると思いますが、これはgoogleが検索結果の検閲(google八分)を行った際に表示しているものです。googleは 2006年1月に、中国政府の検閲を受け入れていることを発表し、その際に「検閲が行われた際は、その事実を公開する」とのポリシーも発表しました(なお、2006年1月以前にも検閲は行われていましたが、googleはそのことを一切認めていませんでした。中国と言う分かりやすい敵が出たため、「googleへの同情」を誘うために検閲を認めたのかもしれません)。google八分の質問に対して、村上社長は「なんと言う名前の機関かど忘れましたが、削除した事実は米国の第三者機関に提示しています」と説明していました。これが、その表示です。

「グロービートジャパン」の検索結果(クリックで拡大)

この例ですと、合計9件の結果が削除されていることになります。つまり、ここに表示されている10件中9件は、何か別のサイトが表示されるはずだったと言うことです。どういうページが削除されているかは、調べれば簡単に分かることですので省略しますが、Wikipediaの一部や、はてなキーワードなども検索に出なくなっており、理由は不明ですが「ほとんど無制限に」特定企業からの要請を受け入れていることが分かります。現在のところ、「グロービートジャパン」キーワードに関する検閲は、20ページ以上になっています。

ちなみに、あるページが検閲されているかどうかは、そのURLを検索してみれば分かります。たとえば、「悪徳商法?マニアックス」のURLである、http://www6.big.or.jp/~beyond/akutoku/ を検索してみると、URL検索の結果は1件しか出ないにも関わらず「検索結果のうち 1 件を削除しました」と出ることから、検閲が行われていることが分かります。Yahoo!のURLである http://www.yahoo.co.jp/ を検索した結果と比較してみれば一目瞭然でしょう。

http://www6.big.or.jp/~beyond/akutoku/ の検索結果

http://www.yahoo.co.jp/ の検索結果

と、切りの良いところで、次回も現実についての話の続きです。

(*1) グロービートジャパンは、「ラーメン花月」「豚そば銀次郎」などのラーメンチェーンを展開している会社です。


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