弁護士でもないのに「ネット上のトラブル解決業」を自称している「御堂岡啓昭」なる人物に対し、当方のプライバシーを侵害していたとして損害賠償を求めていた裁判の判決が2009年1月21日に行われ、御堂岡啓昭の主張がことごとく退けられる勝訴判決が出されました。損害賠償金額は、12万円と裁判所が認定した金額としては史上最高額レベルですが、このような著しく低い金額では全く抑止力にならない「やり得」を生むことにしかなりませんし、個人情報を晒された精神的苦痛を慰謝するのには全く足らないため、東京高裁に控訴しました。

さて、今回の事件は、

  • 2007年1月24日23時58分頃、御堂岡啓昭が、2ちゃんねるに当方や当方の親族ら複数の住所・氏名・電話番号といった個人情報を投稿した

事に端を発するものです。

インターネット、しかも2ちゃんねるのような不特定多数の人が閲覧する場所に、住所・氏名が投稿されることは普通の感覚から言って嫌なものです。特に私のようなサイトをやっていれば、悪徳業者からの嫌がらせが行われる危険性が高まります。現に、嫌がらせ電話が掛かってくるなど、さまざまな実害を受けています。

これに対し御堂岡被告は、弁護士を付けずに本人訴訟だったのですが、

  1. 個人情報を投稿したのは、自分では無い第三者
  2. 氏名・住所は、住民票にも載っている公的情報でありプライバシー情報では無い。
  3. 仮にプライバシー情報だとしても、親族住所一覧の部分は親族のプライバシー情報であって、本人のプライバシーを侵害しない
  4. 原告は公人であり、住所・氏名を公開されることを受任しなければならない立場にある

などと主張していました。

しかし裁判所は、これらの主張を全て一蹴し、

  1. 数々の証拠から、投稿は御堂岡啓昭本人が行ったものと認められる。
  2. 個人の氏名や住所が、自己が欲しない他者にはみだりに開示されないことに対する期待は、一定の限度で保護されるべきものである。
  3. 親族に関する情報についても、一般人の感受性に照らし、私生活上の平穏のため、正当な理由無く他人に知られたくないと考えることは自然なことであるから、法的保護に値する
  4. 原告が、被告の主張する活動を行っているとしても、被告が個人情報を公開する正当な理由があるということは出来ない

と判断し、被告への損害賠償請求が認められました。

しかし、金額としては、わずか12万円という低いものでした。

これまで、裁判所が判断した個人情報の金額としては、宇治市が住民票データ21万件分を流出させた事件で一人あたり1万5千円というものが基準となっており、エステティックTBCが3万7000人分の個人情報を流出させた事件で一人あたり3万5千円という判決が「画期的な金額」とされています。

これに比べると、12万円というのは前例を重んじる裁判所としては非常に重い金額、すなわち御堂岡啓昭の悪質性が評価された金額だと考えられますが、故意に個人情報を書いて12万円というのは、到底納得できるものではありません。この金額でサイト閉鎖に匹敵するダメージを与えられるのですから、当然やろうとする人も出てくるでしょう。そして、賠償金額が低いということは、数多くの「泣き寝入り」を生むことに繋がります。

なお、ネットプランナーを自称する御堂岡啓昭が、なぜ私の個人情報をネットで暴露したのかは分かりませんが、裁判には、はてなの本を書いた「松永英明(通名)」からのメールが証拠として提出され、「松永英明に関する記述を削除せよ」などと私の実家にアポなしで訪問して要求するなどしていますから、はてなを訴えている裁判となんらかの関係があるのかも知れません。

とりあえず、ネットで活発な議論が行われるためには、「個人のプライバシーは尊重する」「親族を攻撃しない」という最低限のルールは守られなければならないと思います。私は、ネットで表現活動をする者として、自分のプライバシーや身の安全を守るための裁判というだけでなく、ネットの自由を勝ち取るために戦って行きたいと考えています。とはいえ、12万円という金額では弁護士代だけで大赤字ですし、正直かなり苦しいので、出来れば再度カンパをお願いします

あと、はてなに勝訴したが賠償金は取れなかった裁判についても、控訴しました。

どうぞ、よろしくお願いいたします。

参考リンク:

御堂岡啓昭から、悪マニを守る会
裁判資料の一部は、こちらの会員向けページで公開しております。判決もアップしました。

(2009.2.17) 宇治市のことを宇部市と間違えていたのを修正しました。neutral23さん、ありがとうございます。


Tags