振り込め詐欺という言葉が定着した今、「だんだん被害は少なくなっていっているのだろう」と思う方もいるかもしれません。しかし、なんと被害は急増しており、今年は過去最悪ペースの増加らしいです。

それで、振り込め詐欺で受けた被害を少しでも救済しやすくするため、振り込め詐欺被害金救済法が2008年6月21日に施行されました。私の理解によると、この法律は、だいたい以下の図のような手順によって、被害を救済する仕組みを定めたもののようです。

で、犯罪口座一覧はネットで見れるようになっているらしいのですが(逆に言うと、今のところネットでしか見れない)、どこにあるのか分かりません。銀行のサイトにも無いし、「振り込め詐欺 口座」とかで検索しても、ぜんぜん出てきません。検索のプロである私が10分くらい頑張って探したところ、

預金保険機構の振り込め詐欺ページ

に書いてあることが分かりました。

比較的ネットに詳しいはずの私ですら10分掛かるのですから、被害に遭いやすいお年寄りだと30分以上とか、もしくは「見つける前に挫折」するのではないかと思います。振り込め詐欺に引っかかる人が、預金保険機構なんてキーワードを思いつくはずがありません。皆さんも、「振り込め詐欺対策が出来たらしいよ」というあいまいな知識で見つかるかどうか、検索して試していただけると、その困難さが分かっていただけると思います。

だいたい、各銀行のサイトを見に行っても、振り込め詐欺救済法のことをどこに書いているのか見つけにくいですし、あっても相談電話番号だけで、具体的な申請方法を書いてあるところは、ほとんどありません。ついでに、預金保険機構のページのボタンをクリックしても反応しないので、「JavaScriptが壊れたか?」と思ったら、公開は7月16日からと言うことでした。ひどい(UI的に)。

ちなみに、分かりにくいサイトを作る銀行どもの中で、圧倒的に分かりやすかったのがみずほ銀行です。リンクも分かりやすい場所にあって、申請書のPDFもありますし、どのような手続きを行えばいいのか具体的にイメージすることが出来ます。今度、口座を作るときには、みずほ銀行だなと思いました。

とは言っても、これでもネットを使わない方には難しいと思いますので、このページを見るような方は、お近くの人に「振り込め詐欺救済新法」のことを教えていただければと思います。悪徳商法に引っかからないコツは、ひとえに情報共有です。本当に身のある情報共有とは、雑談の中で「口座一覧を探すのに苦労したよ。ムカツク」と話題にするようなことだと、私は思います。

みずほ銀行の、トップページ

振り込め詐欺被害者の救済へ期待、新法が施行

 振り込め詐欺でだまし取られた被害金を、返還する手続きを定めた「振り込め詐欺被害者救済法」が21日、施行された。被害相談にあたる弁護士らは新たな制度を歓迎する一方、「犯人側も何らかの対応を取る可能性がある」との指摘もあり、金融機関は警戒を強めている。

 同法は、警察などから通報を受けた金融機関が、詐欺に悪用された口座を凍結し、残金を被害に遭った範囲内で被害者に分配する仕組みを定めている。被害者は従来のように裁判に訴える必要はなく、負担軽減が期待されている。

 大分県弁護士会の河野聡弁護士は「金を取り戻すためには裁判を起こすしかなかった。一歩前進」と評価。長崎県弁護士会消費者問題特別委員長の原章夫弁護士は「犯人の特定が難しく裁判での解決は難しかった。新法施行で救済が容易になるのでは」と期待する。

 一方、実効性を疑問視する声もある。口座を凍結しても、その前に犯人が金を引き出している可能性があるからだ。

 熊本県消費生活センターの石原堅志課長補佐は「振り込め詐欺は、被害に気付く前に引き落とされているケースがほとんど」と指摘。山口県弁護士会の田畑元久弁護士は「犯人側もすぐに金を引き出すなどの対応をとってくることが考えられる」と警戒する。

(2008年6月21日 読売新聞)

http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20080621-OYS1T00428.htm


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