6月14日に、ライブドア社の臨時株主総会が幕張メッセにて開催されたため、株主である私も出席してきました。宇野康秀USEN社長ら6人を、取締役に任命する決議を行うための総会です。なぜメッセで開かれるのかと言うと、個人株主が数十万人おり「当日、何人来るか予想出来ないため」だそうです。

まず、山崎徳之代表取締役が議長に選任され、経営陣全員による謝罪、そして山崎氏による内部調査の報告が行われました。数字がいっぱい出てきて良く分かりませんでしたが、「何億円の架空売り上げ計上がありました」と言う事実報告のようです。

次に、平松社長による、今後の展望が語られました。終始しっかりした口調で、

インターネットにより、ロングテール戦略が可能になった。今までは、「Yahooに追いつけ追い越せ」でドンドンやってきたが、これからは個人の口コミがネットで物を言う時代。そのためには、ユーザーが体験を共有(Share)するための仕組みが不可欠。そこで、Yahooのような巨大さではなく、CGM(Consumer Generated Media)、すなわち「消費者が製造するメディア」と言う分野でのNo.1を目指して行きたい。つまり、「個人の力を解放する企業のNo.1」を目指すと言うことだ。

と説明されました。当サイトも「情報共有で、被害を防ぐ」ことが目的の一つですから、非常に共感できる内容で素晴らしいと思いました。

で、質疑応答に入るのですが、山崎氏によると「一切の質問を受け付けてしまってから、決議に入らせていただきます」とのことです。前回の総会は6時間にも及んだらしいですし、さすがは「ロングテールとか言っている企業は違うな」と思わせてくれます。しかし、これが波乱の幕開けでした。

さて質疑応答です。個人株主が多いせいか、愚痴なのか演説なのか良く分からない質疑応答が続きます。「証券に騙されました。どうにかしてください」とか「ライブドアは私の息子だと思っています」とか、極めつけは「氏名は、創価学会です」と明らかな偽名を使い「全世界から飢餓に苦しむ人がいなくなったら、砂漠に緑が戻ってくるでしょう。それまでは、負けないで、負けないで、全力で頑張ってください」と言う応援演説。どう聞いてもまともな質疑応答では無いのですが、全く止める気配がありません。時折、「これだけの大事件の後の総会にも関わらず、一般人が参加しにくい平日に設定したのは何故か?」とか「『ホリエモンが無罪であっても復帰は無い』とする理由は?」とか「新しい監査役は、天下りではないか?」といった質問も行われましたが、どの質問も止めずに聞くのは、「再出発のための禊」と考え、全部を聞くだけ聞くつもりだからなのでしょうか?

そう思い始めたとき、ふと「USENとの事業提携が重要なのに、そのことについての質問が無いな」と気づきました。まあ、まだ沢山、質問者はマイクの前に並んでますし、「誰も質問しないようなら私が質問しよう」と思っていました。

ですが、開会から3時間を回った時、突然事件は起こりました。質問者が質問を行っている途中にも関わらず、山崎氏が「質問が出尽くしたようなので、採決を行います」と一方的に宣言。まあ、株主総会と言うのは「数の論理」なので、個人株主の意向など関係なく、ホリエモンや宇野社長の動向によって決まります。最初から出来レースみたいなもんなんですが、「ブログの口コミが重要」と言ってるそばからこれです。「議長の横暴だ!」「悪徳会社USENは、引っ込め!」「強行採決やめろ!」「ロングテールは、おためごかしか!」等といった罵声が飛び交う中、次々と議案が採決され、プロジェクターに写し出されていきます。強行採決の現場なんて、初めて遭遇です。盛り上がって参りました(笑)。

結局は、「やり直しだ!」と言う大多数の人の声にも関わらず、全ての議案が「賛成」と言う結果となり、総会は終結しました。

ところが、あまりにも一方的な閉会に収まらない株主達が「きちんと説明責任を果たせ!」と警備員らに詰め寄っていたところ、なんと壇上に平松社長が戻ってきて、「総会の結果は変えられませんが、今から意見を聞く場だけでも設けたいと思います」とのこと。追加で、10名弱ほどの質疑応答が行われることになりました。まあ、強行採決の後なので、そのことに関する意見ばかりなのですが、「なぜUSENなのか?USENのような会社と組んで問題は無いのか?」と言う質問が2人ほどから出ました。その答えは、「色々な企業が名乗りをあげてくれたが、USENは我々の欲しい技術を持っていた。だが、最大の理由は『企業風土が似ていた』こと」と言うことでした。USENと言えば、違法営業していたり、独占禁止法で勧告を受けたりしている会社ですが、やっぱり一度「イケイケどんどん」体質になってしまうと抜けれないってことなんでしょうかね。平松社長の素晴らしい演説が、「粉飾」で無いことを祈るばかりです。

ちなみに、ロスタイム質疑の中で、個人的に面白いと思った質問は、これ。

ライブドアショックの一番の原因は、マネックス証券が「ライブドア株の価値は0円」と公式に宣言したこと。そのマネックス証券の株主は、ソニーと日興コーディアルだ。新取締役が、その2社出身で占められているのは、体のいい乗っ取りでは?

真実がどうであれ、「はい、そうです」なんて答えるわけ無いんですが、色々な事象が絡んでるんだなと勉強になりました。

参考:

取材陣でごった返す幕張メッセ

壇上で謝罪を行う経営陣

用意した10分の1程度しか埋まらず、結局使用されなかった後ろ半分の椅子。

※ 終了後に撮影しています。


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