あとがきによると、タイトルは「からくり・民主主義」では無く「からくり民主・主義」らしい。沖縄米軍基地や原発誘致、諫早湾干拓など、単純な2項対立と捉えられがちな問題について、一歩離れて取材した本。

大手マスコミ的視点でテーマを分かりやすく持ってくるのではなく、複雑な世の中を複雑なまま取り込もうとする姿勢は大変面白い。しかし、結局のところ「反対運動はビジネス」「正しく見えても裏がある」「人間って、したたかだよね〜」的な分かりやすさを提供しているだけにもみえる。陰謀論と同じで、良く分かった気にさせられる分、余計たちが悪い。

とはいえ、原則論で物事を単純化しがちな風潮について考えさせられる、良い本だろう。現状を正しく伝えているかどうかは、別として。

【目次】

  1. 国民の声 — クレームの愉しみ
  2. 親切部隊 — 小さな親切運動
  3. 自分で考える人びと — 統一教会とマインドコントロール
  4. 忘れがたきふるさと — 世界遺産観光
  5. みんなのエコロジー — 諌早湾干拓問題
  6. ガリバーの王国 — 上九一色村オウム反対運動
  7. 反対の賛成なのだ — 沖縄米軍基地問題
  8. 危険な日常 — 若狭湾原発銀座
  9. アホの効用 — 横山ノック知事セクハラ事件
  10. ぶら下がり天国 — 富士山青木ヶ原樹海探訪
  11. からくり民主主義 — あとがきに代えて

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