株式会社ウェディングが、「国際特許を取得」と紛らわしい表示をしていたことについて、公正取引委員会に調査を求めたところ、「景品表示法違反につながるおそれがあるため、注意を行いました」との返事が来ました。注意とは、いわゆる「行政指導」ってやつです。

そのせいかどうか、現在のウェディング社のサイトでは、「国際的に特許(意匠権)を取得した商品」となっていますが、これも意味が分からない表現です。少なくとも日本においては、特許権と意匠権は全く別の権利です。法律も、特許登録は特許法、意匠登録は意匠法によるものとなっています。あくまで、「なんらかの特許を持っている」と、主張したいのでしょうか?

知的所有権の分類

権利 法律 保護の対象
著作権 著作権法 表現全般
特許権 特許法 発明
実用新案権 実用新案法 形態
意匠権 意匠法 デザイン
商標権 商標法 マーク

ちなみに、ウェディング社のユーザーサポートQ&Aには、以下のように書いてあります。修正してないだけかもしれませんが、ウソですね。

Q 国際特許って?

国際特許って何ですか?

A Re: 国際特許って?

全世界的な知的所有権の保護を促進することを目的として、1970年に発足した国際機関である世界知的所有権機関(WIPO)による、特許協力条約(PCT)に基づく国際特許で、日本はもちろんのこと、ヨーロッパをはじめ、北米、アジアなど全世界約50ヶ国での特許を取得しております。

取得した国によって、それぞれの国の取得番号を保有しています。(ヨーロッパ34269‐01号、日本1180242号等)

とりあえず、「国際特許」なる表示は、違法性があることが確認できましたので、見つけた方は公取委の景品表示法違反被疑事実についての申告ページからメールを送ると良いかもしれません。

■送ったメール(2月27日)

景品表示法違反についての情報入力
−不当表示−

A.不当表示を行っている事業者について

1.氏名又は名称 株式会社ウェディング
2.(ふりがな) かぶしきかいしゃうぇでぃんぐ
3.所在地又は住所 京都市中京区烏丸通六角下ル七観音町629番地1 ウェディングビル
4.代表者氏名 田中 敦子
5.電話番号 075 231 6377
6.ホームページ http://www.wedding.vg/index.html

B.不当表示と思われる行為の具体的な様態,時期,場所,その他の事実について

1.表示媒体 ホームページ
2.表示時期 2004年1月〜
3.表示が行われた場所 ホームページの右下
4.表示の内容 このカットは国際特許(34269-01)を取得した当社だけがお届けできるハイクオリティーなダイヤモンドです。
5.表示から受けた印象 全世界に通用する国際特許と言うものがあり、34269-01の番号で取得してあるので、日本国内はもちろん、全世界で独占権を持つ。
6.実際にはどうか WEBで調べてみたのですが、国際特許と言う制度は無いようです。で、日本やアメリカの特許庁で調べてみても、その番号のものが見つからず、「国際出願」と言うものがあるようなので調べてみたが、やはり見つからなかった。
7.その他 この会社は、電話で顧客を呼び出し販売勧誘する、いわゆるアポイントメントセールスを行っている会社ですが、嘘や曖昧な表現で、不適正な取引を行っている可能性があるため、調査していただきたく、ご連絡いたしました。

■届いた通知書

日付の部分だけが手書きで、あとはワープロ打ちでした。ありがちな処置ということでしょう。

公近通第61号
平成16年9月16日

公正取引委員会

通知書

平成16年2月27日に書面で報告を受けた件について下記のとおり処理したので、景品表示法第7条第1項により適用する独占禁止法第45条第3項の規定に基づき通知します。

調査の結果、法律上の措置は採りませんでしたが、景品表示法違反につながるおそれのある行為がみられましたので、同法違反を未然に防止する観点から、注意を行いました。


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