名古屋で、内職商法の被害者と思われる人物が人質を取って軽急便に立てこもり、その後爆発した事件について、類似商法の相談が会議室に来ていたので紹介します。この相談が来たのが、今日の午前4時ですから、ものすごい偶然です。

夫が近々会社を辞め、(有)クールシステムという会社で軽自動車での冷凍の宅配を始めたいといっています。

愛知に本社があり、東海地区と大阪に支店があるようで、最近、新聞や求人誌などで独立開業を考えている方への求人広告をよく見かけます。

いわゆる軽貨急配と同じたぐいなのですが、この会社は『冷凍』という事で、他との差別化を図っています。

当然、契約には冷凍軽自動車の購入資金と加盟金など、合わせて250万円を用意しなければなりません。

先日、実際に夫が面接を兼ねた説明を聞いてきたのですが、広告では40万ぐらい稼げるような事を書いていながら、契約の同意書の内容としては、『売上が0円でも文句は言いません』という内容が書かれいたようです。

簡単にこの手の商法のシステムを説明すると、会社側が「トラックを購入してフランチャイズに加盟すれば、すぐに元が取れる」と勧誘するが、その実、仕事がほとんど無く借金だけが残ると言うものです。クールシステムが、その様な商法をやっているかどうかは今後の議論を必要としますが、「仕事に必要」などと言って金銭を要求する会社は、かなり疑ってかかった方が良いでしょうね。

それで、内職商法は、今、悪徳商法業界で一番ホットな手法です。既に「詐欺商法なのでトラック代金は払わなくて良いです」と言う判例まで出ています。専門用語的には、業務提供誘引販売取引と呼ばれ、クーリングオフ(無条件取り消し)まで出来るようになっています。ガソリン持って押しかける前に、当サイトに来てもらえれば、最悪の事態にはならなかったのにと悔やまれます。

さて、2年前に起きた武富士放火殺人事件の犯人も、内職商法に引っかかっていました。今後、ますます、この手の事件が増加すると考えられます。なぜならば、これから景気が良くなっていくのでしょうけど、給与水準は景気の上昇(物価の上昇)に遅れて追随するため(図1)、労働者はより苦しい生活になるためです。当然、生活が苦しくなれば内職・副業を求める人が増加し、マルチ商法やねずみ講、フランチャイズ商法が流行します。


図1

今回、最悪の事態になってしまったわけですが、その責任はやはり、マスコミ・消費者センター・弁護士にあると思います。マスコミなどは、まず警察の危機管理を問題にしているようです。しかし、危機管理とは本来、危機が起こらないように予防するところから考えないと行けないはずです。窮鼠猫を噛むなんてことは秦の時代から言われてることで、被害回復の道があることを教えるべき人が教えないと(また、実際行わないと)、何度でも繰り返されることでしょう。

とりあえず、内職商法をやっている会社は全員、「刃物を持った人が押しかけてきたらどうするか」と言うマニュアルを作った方が良いでしょうね。


追加情報

9月11日の掲示板の投稿に、こんなのがありました。内容を間違えていたので、修正しました(2003.9.17)。

投稿者 : ママーン
タイトル: 債権回収サギ

やっと新聞やテレビで大きく報じられるようになりましたね。送り主はどうやらPCに詳しい学生などが多いようです。でも不安になって十万円以上も払い込む人もいるようです。逮捕者も出ているようなので警察への通報は重要ですね。

話は変わりますが、軽急便などの独立軽トラ運送も大変なサギのようですね。特装車と称して140万円くらいで軽トラを購入させ上、月会費1万円を取り、仕事は殆ど紹介してもらえないそうです。中には、その会社へ乗り込んで暴れる人も多いとか。酷い話ですな。


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